本来、このブログではマーケティングの概要や実際に活用できるマーケティング手法、分析手法、考え方などをご紹介できればと思っているのですが、まず最初に「なぜこのマーケティング研究所を始めたのか」について触れておこうと思います。
元々はマーケティングコンサルタントとして活動
弊社はデジタルマーケティングを主に取り扱うコンサルティング会社として活動してきました。マーケティング全般を取り扱っていたのですが、どうしても入口としては集客相談が多い状況です。リスティング広告の運用、SEO対策などだけではなく、昨今ではSNS集客のご相談も多く受け付けております。
集客のデジタル領域を多くサポートしていることもあり、ホームページやSNSの運用代行、ネットショップの制作、アプリやシステムの開発などのご依頼もお受けしております。そのせいもあってか、マーケティングの中でもデジタル領域のマーケティングサポートが多くなっています。
しかし、集客相談を受け付けている中で「そもそも、まだ集客できる段階では無いのでは?」という案件や、「まずは商品企画をやり直さないと集客が難しい。」、「リピート施策が無い状態での広告投資になるので、無意味ではないか。」「そもそも、ホームページじゃなくて他に費用を割いたほうが良いんじゃない?」という案件がかなり多いことに気づきました。
ホームページやSNSを通じた集客に関しての相談を受けることがたくさんあるのですが、そもそものビジネスモデルや商品企画を考え直さないと制作自体が無駄になってしまうようなケースがたくさんあります。
マーケティングに対しての認識が異なる
集客相談から入っているものの、実際には根本のマーケティング領域全てを請け負って活動しています。お客様の中には、過去に他社のホームページ制作会社様から集客のことをマーケティングと習っていたようで、集客=マーケティングと思われている方がたくさんおられます。なので、弊社への集客相談とその相談内容、趣旨が食い違っているようなケースが多数生じていました。
マーケティングというのは、商品やサービスに対しての売れる仕組みづくりです。集客というのは、そのマーケティング活動の中の一部に過ぎません。事業設計、商品企画、営業販売、運営管理、全てマーケティングの領域です。
マーケティングについての認識がそもそも異なっていたので、「そんなところにお金がかかるの?」というお客様との認識のずれが生じてしまい、ビジネスの準備も出来ていないのに集客施策に強行されるようなケースがありました。
集客準備もマーケティングの重要課題
この記事を見ている方も福井の中小企業経営者様が多いという前提で、まずは集客=マーケティングという考え方は変えていただきたいと思っています。むしろ、集客は前段階が重要であり、その集客準備もマーケティングの中では重要な課題です。
事業モデルの設計、商品の企画を行い、
- どのようなユーザーを
- どのような経路で
- どこに対して
集客するのかを策定していく作業です。その集客施策の準備段階があってこそ、ホームページが必要なのか、SNSが良いのか、はたまた新聞広告が良いのか等を検討することができます。集客のための広告作成をするよりも、事業モデルや商品企画をベースとした集客の設計が重要です。
マーケティングためのベース作り
集客施策にばかり目がいっている状態では、
- どんなデザインのホームページを作ろう?
- SNSで何を発信していこう?
- チラシが良いかな?パンフレットが良いかな?
みたいな箇所を考えているお客様がたくさんいます。しかし、ビジネスモデルの基盤や商品企画のベースが出来ていない状態では、制作物に対して検討していっても答えは出ません。ベースが定まっていないので、良し悪しの判断基準がないのです。
マーケティングは段取り8割
「段取り8割」「段取りが完璧なら終わったも同然」という言葉はよく言われますね。
特に建設現場ではこの言葉をよく聞きました。
建設物の設計から必要物のピックアップ、スケジュールの確認と資材の手配、人員の確保と配置。それらが段取り良く進んでいけば、あとは作るだけなので出来上がったも同然という考えです。
しかし、何でもかんでも本当にその通りに進むわけではありませんし、現場ではその人の腕(技術)が必要になります。といっても、現場で技術を発揮するためには徹底した段取り(準備)が大事だという教えです。
マーケティングも同じく、段取り8割と言えるかもしれません。
ビジネスモデルを作成し、課題を解決できる商品企画、その商品を販売していくための販売設計、顧客を獲得するための集客施策、継続的な販売を行うための運営管理、といった形で各所の段取り(設計)を行うことによって、大枠でのマーケティング施策が完了します。
設計と準備が足りていない
弊社にご相談いただく多くの中小企業様は、この全体の設計と準備が足りていないケースが多々あります。「良いものだから売れる」という一辺倒の考え方になりがちで、「その良いものをどう売っていくのか」を考えられていないのです。
マーケティングというのは「売れる仕組みづくり」です。売れるための設計と準備をしっかりと行うことによって、売りたい商品が売れる状態を作り上げます。
目先に見えているネットショップ制作、SNS発信、チラシ作成などはあくまでも手法です。大事なのは手法ではなく全体の設計、流れを作ることです。
検証と改善ができる体制づくり
マーケティングを成功させるために重要なのは、戦略や戦術、手法はもちろんなのですが、それらをしっかりと効果検証、改善できる体制が最重要となります。
マーケティングというのは「売れる仕組みづくり」。つまり、全体設計をした後に戦略を立て、その戦略を元に戦術を構築し、戦術に沿った手法によってマーケティングを行います。ここまでしっかりと設計していくことが重要になるのですが、設計してスタートしているからこそ、その方法が合っているのか間違っているのかを確認して修正していかなければいけません。
何でもそうですが、最初から合っているか間違っているかを100%判断することはできません。有名な大企業でさえ、新規事業を展開しては撤退を繰り返しているのですから、中小企業がいきなり一つのやり方で大成功するなんてことは考えにくいですね。
そのため、マーケティングで成功したいのであれば効果検証を行い、その結果を元に既存の施策を改善していかなければいけません。設計、実行、検証、改善(PDCA)をぐるぐる回していくのが大事なのです。
マーケティングが実行できる組織づくり
PDCAが重要だと言っても、いきなり全部を完璧に行うことは困難です。現状のビジネスを分析し、その商品やサービスは顧客に対してどのような価値を提供できるのか、他社製品とはどこが違うのかをピックアップし、その利点をわかりやすく売り出せるセールスは何なのか、どのような集客手法がターゲットとするペルソナとマッチするのか、どれくらいの結果が出れば良しとするのか…。
「マーケティングを頼みます」と簡単に言われることがありますが、実行するためにはさまざまな要素が必要となりますし、それぞれの分野を担当できる人選も大事です。社長だけではなく、各所のスタッフさん、担当者さんとの協力が必須になります。
マーケティングにはさまざまな要素が必要だからこそ、それぞれのセクションをになっている方との連携が重要となります。正確に進めていくためには、そう言った連携が取れる組織づくりも重要。
検証と改善は経営指針をもとに分析
マーケティングの検証と改善と言っても、多くの会社さんでは
- 広告の表示回数とクリック数、コンバージョン数
- チラシの配布枚数
- クーポンの利用率
などを見て、想定していた数字よりも良い悪いの議論をされています。しかし、重要なのは目標(ゴール)に対してその指標がちゃんと向かっているかどうか。ちゃんとゴールとなるKGIと、その通過点となるKPIの設定が必要です。
- 重要目標達成指標:KGI(Key Goal Indicator)
- 重要業績評価指標:KPI(Key Performance Indicators)
例えば、居酒屋を経営していたとして、売上昨年比50%UPをKGIに設定したとします。昨年対比50%UPということは、月商1,000万円の居酒屋の場合、目標売上は1,500万円となります。そのまま運営していては到底目指せない成長率ですね。
そこで、そのKGI(1,500万円)を達成するために、売上に対しての要素を分解します。弊社の場合、既存のベースアップと、新たな売上の積み上げに分けて考えます。集客数、客単価、商品単価、認知数などに対しての目標を設定し、それぞれのKPI(指標)をクリアすればKGI(1,500万円)が達成できるという形です。
目標としてKGIを設定している方はおられますが、指標に細分化したKPIを設定できている企業様はとても少ないです。KPIを設定するためには現状分析が必須となるため、現状の確認ができていないからKPIを設定できていないケースがほとんど。仮に現状が
- 集客数:2,000人
- 客単価:5,000円
- 商品単価:1,200円
- 認知数:約15%(人口30万人のエリアに対して、5万人が広告等により店舗を閲覧)
だったとして、
- 集客数:3,000人
- 客単価:6,000円
- 商品単価:1,400円
- 認知度:20%(人口30万人のエリアに対して、6万人が広告等により店舗を閲覧)
と設定したとします。それぞれ全てを満たせばKGIは確実にクリアできますし、もしKPIを満たせない項目があったとしても他の項目でカバーできるような構成です。
このように、マーケティングを本格的に行なっていくためには各所の数値を認識して、その項目に対して改善策をとっていく現状認識と検証・改善が必須です。
見た目だけに囚われたマーケティングが多い
弊社の所在地が福井県ということもあり、地方の中小企業様とお仕事をしていることも要因かもしれないのですが、今は見た目だけに囚われたマーケティングが多い印象です。
- YouTubeでバズる動画を作る
- SNSのフォロワーを増やす
- 注目を集める広告を作る
と言ったような見た目の煌びやかなマス戦略を取っている企業様は多いのですが、実際の数値分析ができている企業様はかなり少ない印象。
弊社のお客様でも、ランディングページを作成する際にフォントスタイルや背景色、装飾の位置などを細かく気にされる企業様は多いです。しかし、本来重要なのは気に入ったデザインのページを作ることではなく、ランディングページによって売上を増やすこと。その目的を見失って自分が気に入るデザインを模索されていると、完全自己満のウェブページになってしまい売上に全く繋がらなかったり…。
見た目ではなく、訴求と数値目標が重要
マーケティングを行う際にデザインは重要です。自社の強みを示したり、顧客の需要を捉えたデザインというのは売上を大きく左右します。
しかし、それはあくまでも売上を目指したものでなければいけません。大事なのは、自分が気に入るデザインを作るのではなく、売上が上がるデザインを作ることです。売上が上がるデザインを作るために重要なのは、そのクリエイティブで何を伝えるのかという訴求点を決めること。
さらに、訴求点を明確にするということは「顧客はこれを求めているだろう」という予測を立てる必要があるということ。加えて、顧客が求めていることに対して的確に情報を提供できればこれくらいの売り上げに繋がるだろう、という数値目標も必要です。
デザインは見た目が綺麗なことが重要ではなく、目標数値に対して適切なものかどうかで判断すべきなのです。
クリエイティブで注目された、その先に目指すもの
綺麗なデザインを作るだけではなく、中には顧客からの注目を集めるために作られたデザインもあります。突飛なデザインを作り、過激な広告配信を行うことによって集客を目指すような手法です。法律的にアウトな手法は使えませんが、多くの企業ではこのように顧客の目を引く広告手法を取っているケースもあります。
弊社にご相談いただく企業様でも、タレントさんやインフルエンサーを起用し一気に認知を拡大している企業様はおられます。しかし、ほとんどの企業様ではその認知度を数字(売上)に置き換えられていないのが現状。
認知を拡大するということはそれだけ見込み顧客が増えるということ。見込み顧客が増えたことにより接触母数が増え、そこから今まで以上の成約率(来店や購入の確率)を実現できれば売上はグッと上がります。母数が増えることによって、成約率に変化がなくとも今まで以上の売り上げを目指せます。
つまり、集客のために注目を集めるクリエイティブを作成することは、その先にしっかりと数字に現れる売上を目指すべきです。クリエイティブが良いかどうかの判断として一番重要なのが売上に繋がったかどうか。どれくらいの売上が作れたかどうか、というポイントです。
事業成長に結びつくマーケティング支援を
- マーケティングという言葉だけが先行して、マーケティングというコンサルタントにお金を払えば売り上げが出ると思っている企業様
- 集客=マーケティングと考えており、集客だけに集中している企業様
弊社に相談いただく企業様の中には、このようにマーケティングを少し変わった見方で捉えている企業様がたくさんおられます。
マーケティングというのは企業の根幹を担うものであり、あくまでも企業経営の中で売上を目指すものでなければいけません。単純に、マーケティングに費用をかければ売上に転換するようなものでもなければ、集客だけがマーケティングでもありません。
マーケティングは「売れる仕組みづくり」であるため、事業の根本からしっかりと見直して、商品・サービスの販売、集客、運営管理の流れを作ることが必要です。ただ単にコンサルタントにお金を払っているだけでは、本来の売上に繋げることはできません。そのコンサルタントと一緒になって目標設定してくことが重要です。
低価格で支援できるサービスの確立
企業様の中ではマーケティングのコンサルタントに毎月数十万のコンサルティング費用を支払っているものの、「お金を払っているから売上を上げてくれ」というスタンスの会社様もたくさんおられます。しかし、本来マーケターと企業は二人三脚の形で伴走していかなければいけません。
ただ、企業の中に入り込んで現場も見ながら行うマーケティングコンサルというのは高額になりがちで、中小企業様にとって簡単に導入できるものでもありません。しかし、売上を上げていくためにはマーケティングが重要。この矛盾を解消するために、弊社は月額33,000円から始められる顧問サービスを開始しました。
中小企業様の売上に対して少しでも私たちの知見が役に立てればと思い、今後もマーケティング領域のサポートをさせていただきます。